TwinTowerTours (m)

ももた支店:槇原敬之さんのほぼ全曲レビューという名のただ語りたいだけ-なブログをを相方さんとしております♪

01. うたたね

初のマキハラノリユキ・セルフプロデュースアルバム。第二章の始まりでございます。うたたねお好きな方も多いと思いますが、曲の感想に入る前に少しだけ寄り道にお付き合いくださいませ。

この Such a Lovely Place のジャケットにはオサレないで立ちのマッキーが3人写ってます。今見ると正直なところパツキンはちょっぴり似合わないかもなぁって思うけど、当時は

「すわ!三大天使か!」

と思ったものです。天使禁猟区由貴香織里先生の漫画/白泉社)にドハマりしてたのもありましてね、私も若かった・・・。

三大天使というよりも作詞作曲家・歌手・プロデューサーの三位一体攻撃を手に入れたマッキーを具象化していたというのが正解なのかも知れません。

初回盤だけかもしれませんが、マッキーのジャケ写の上から好きな写真をはめ込めるように4カ所切り込みが御座います。My三大天使なマッキーが眩しすぎたこともあって、別の手持ち写真を上から重ねてたんですね、それで『隠れキリシタンのよう』と悦に入ってたりして、そんなのも生暖か〜い思い出です(^^;)

さらに、なんとこのCDはパソコンに入れると期間限定で特典映像を見ることができました。1997年のパソコン普及率はこちらの記事のグラフからすると20%強のようなので見れなかった人もそれなりにいたんじゃないかと思います。もっとちゃんと覚えておけば良かったーと悔やみきれませんが、3つくらいドアがあってそれぞれ開けると写真や日記がみれたかと思います。トイレの水を流せるお部屋もありました。

バイト代を貯めて初めて買ったMacintosh ちゃん(命名:マッキー1号)が大活躍でしたよ(決してこの為や、マッキー情報の検索のために買ったわけではなく、真面目に勉学に勤しむために購入した事を申し添えておきます)

オープニングで流れるおでかけマキハラ君の音楽とクレイ・アニメーションがとっても可愛らしくて、公式ファンサイトで音源だけでも聴けるように復活しないかな?と願わずにはいられません。

 

そんな「仕掛け」はジャケットやディスクにだけでなく曲にも仕込まれています。それが、この「うたたね」。

あの時の出来事をなんと呼ぼうか

冒頭のコーラス。このフレーズはサビやSuch a Lovely Place の間奏にも登場します。今までのアルバムも1本の映画を観ているような感覚でしたが、さらに深みを増して静かな感動を呼び起こすためのキーワードとなっています。

 

このSuch a Lovely Place からHome Sweet Home までの4枚はマッキーのオリジナルアルバムの中でも特にお気に入り。その中でもうたたねは格別です。

もう、とにかく歌詞が美しい。レースを編むように綴られていく言葉たちにうっとりです。

海からあがる潮風

絵葉書で見た晴れ空

風の匂いと、視覚で訴えてくる青空。風景描写から入るのはセオリー通り。メロディが無くとも「詩」として成立していて、国語の教科書に採用されていいレベルかと。小さい子にもこんな綺麗な日本語が有るんだよと教えてあげたい。

うたたねのために数えるのは

羊ではなく思い出

あぁ、ロッキングチェアに揺られながら自然な微睡みに身を任せているのは従心(70歳)も超えた男性でしょうか(注:妄想シチュエーション)。ハミングの優しさと相まってスローモーションで流れていきます。

少しずつ細める目の

睫毛の向こう側に

はぐらかしてばかりいた

記憶をいつものようにたどる

もうため息しかでません

(*´∀`*)ほぅ

まるで回想形式の映画のようですね。『あの時のできごと』は初恋の人との出会いのシーン(たぶん)。2度目は店員さんとお客さん。1度目はどんな出会いだったのか妄想力が試されます。やり直したとあるので、1度目はあんまり良い出会いで無かったのかもですね。良くあるパターンで好きな子いじめちゃったとか。

 

この調子でいくと1曲マルマル歌詞をあげることになるので自重しますが、本当に言葉のひとつひとつがあるべき場所にある、本作を名盤たらしめている名曲です。

青い海の色が欲しくて

何度すくってみても

透明な水は手のひらぬけ

ここが一番だと海に帰る

自然の摂理には逆らえない。重力に従ってすり抜けていくのもそう。青い水が手に入らないのもそう。水は光の吸収によって薄い青色を呈します。透明な水も綺麗ですが息を飲むほど美しい水の青は、海のように厚い層にならないと拝むことはできません。手に入らないものほど人は執着心が生まれるもの。この2番のAメロはBメロからサビにかけて語られる初恋の人との関係がなんとも美しく比喩されています。

 

僕を揺り起こす優しい声

気がつけば膝にあたった毛布

夕げの匂いは僕に教える

ここが君の Lovely Place

それは紛れもなく 僕の愛する毎日

秋から冬に移ろう季節(1997/11/27発売)の中、家族の優しさに包まれて、ともすればこの主人公はそう遠くないうちに儚くなってしまうのではないかと、そんな危うさにも惹きつけられてやみません。そんな人生の間際に思い出しているのが叶わぬ恋の記憶だというのは家族を想うと哀しい。今の幸せが土台にあるからこそ、心残りは初恋のことだけなのでしょう。

 

長くなりましたが、今日はこれにてお終い。ここに書ききれなかったところはぜひお手持ちのCDで感じて下さいませ。