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ももた支店:槇原敬之さんのほぼ全曲レビューという名のただ語りたいだけ-なブログをを相方さんとしております♪

02.夏は憶えている

全国的に冷え込みが厳しい今日この頃。
回ってきたのは季節感全く無視した夏の曲でございます。

「夏は憶えている」なのだから夏以外の季節(例えば秋)に夏を振り返っているとも思わせるタイトルですが、ここでいう「夏」は夏という季節だけを何年も過ごしている生命体のようなイメージで、今過ごしている夏という季節の中で、過去の通り過ぎてきた夏を思い出しているというシチュエーションです。
イカが店先に並び始める頃なので7月上旬くらいでしょうか。

なんでこの曲シングルじゃ無いんだろう?と思えるほどの名曲なんですよね。個人的にはこのアルバムの中で一番好きです。
2004年はアルバム発売前にフルオーケストラコンサート cELEBRATION が初めて催され、この夏は憶えているも披露されましたが、今思えばセレブの時点では未発表曲だったんですねぇ。
こうして後からアルバムを聴いていてもオケとコーラスを意識して作られたんだろうなというのが伝わってきます。それにしても、うたたねから夏は憶えているに続くセットリストは珠玉でございました。



昭和サウンドのような懐かしいメロディ。
ズンチャ・ズンチャと意気揚々と冒険に出かける子供達が浮かんでくるリズム。
Dメロ前の間奏なんかはショーミュージックみたいで軽やかにステップを踏みたくなりませんか?


そして歌詞には風景描写と比喩表現がこれでもかと惜しみなく使われています。
なんだかこの曲でアニメ映画が1本作れそう。

私は田舎育ちなので、草をかき分けたり、川原で遊んだ子供ころが鮮明に思い出せますが、海も山もない都会育ちの方でも擬似体験できるのではないでしょうか。

エンディングなんかはUFOの飛来を感じさせるようなサウンドも入っていて、アルバムタイトルの EXPLORER だったり、ジャケットの宇宙服姿だったり、アルバムのイメージと一番リンクしている曲だなと感じています。


歌詞はどこをとっても好きですが

瑠璃色の遅い夕暮れ

こんな風に「色」を歌詞に取り入れる事で、耳から聴こえてくる音楽が視覚的な広がりを持って脳内を駆け巡るという仕掛けをマッキーはちょくちょくしてきます。ニクイ。
時間を忘れて夜がもうそこまで迫ってくるまで夢中で遊んだ(そして親に怒られた;笑)というのは多くの人が持っている経験なんじゃないでしょうか。

そしてもう一つ好きなポイントが、

誰かが撒いた打ち水
誰かに涼しい風を送る
次はどんな自分に
なりたいのか分かった気がした

この曲には風が吹き抜けるようなさわやかなメロディとコーラスが入っています。
顔も分からない通りすがりの誰かが涼を感じれるように打ち水をする人のように自分も思いやりを持てる人になりたい
そして、誰だか分からないこの打ち水をした人に感謝する気持ちを持っていたいという思いがこもっていると私は受け止めましたが、聴く人によって色んなパターンが思い浮かぶように、解釈の余白がある部分だと思います。
ガツンとストレートな表現じゃなやわらかく表現された曲の方がやはり私好みのようです。

アルバムがリリースされた頃はまだ1999年の夏の記憶が色濃く残っていましたが、ようやく違う夏の思い出ができてその記憶を薄めてくれた頃でもあります。もう一度夏を好きな季節にしてくれた曲。

去年はオリンピック延期を始め、暗い記憶となりましたが、次の夏はいったいどんな夏になるんでしょうね。