TwinTowerTours (m)

ももた支店:槇原敬之さんのほぼ全曲レビューという名のただ語りたいだけ-なブログをを相方さんとしております♪

07.迷わない羊

迷わない羊とはまた意味深長なタイトルです。

太陽は復帰第一弾アルバムという事で「贖罪一辺倒であるべき」と考えた人もいたはずで、そんな人たちにとってこの曲は石を投げられたようなものだったかも知れません。

でも無理だね
君は嘘つきだもの

非難とも取れる言葉を投げかけられた「君」は「仔犬の頭を撫でながら尻尾を踏む」I ask. に出てくるような人。
迷わない羊ではこう表現されています。

「あなたの事を邪魔したり
傷つける人は絶対許さない」
その許せない人達と
平気で話してるくせに

I ask.が自戒の念を込めた詩だとすると、迷わない羊は他者にも正しくある事を求めたもの。どちらもそのベースに自分自身が正しくあろうとする努力があるからこそ言える言葉が綴られています。


2004年に出版された「槇原敬之の本。(松野ひとみ著)」の中ではI ask. の制作にしか触れられていませんでしたが、当時の様子を少しだけ窺い知れました。

そして太陽発売前から当時の所属事務所社長が横領していた事が発覚していたのだというのはなかなかショッキングでした。

何故なら、業務上横領の容疑で元社長が逮捕されたというニュースが流れたのは出版の半年ほど前でしたので、発覚もその頃と思っていたからです。
しかし実際はI ask. を作っていた頃からだったことが分かり、身近な人の裏切りに心痛めながらの復帰だったのかと思うと、よくぞ芸能界に見切りをつけずにいてくれたと安堵する気持ちがまた大きくなりました。

冒頭でも引用したこの歌詞は、精神を守るために発した言葉なのかも知れません。

でも無理だね
君は嘘つきだもの

そんな人だったんだとまるで言い聞かせるかのように3度も繰り返し使われています。

例えば、300円のラーメンだと多少麺がのびててもガッカリしないけど、1,200円出した本格を謳う長浜ラーメンがビミョーな味だったら、残念過ぎてチョイスした自分を呪いたくなるように(わたしだけ?)、信じている人の嘘よりも、嘘つきと分かっている人の言葉の方がショックは少なくてすむ。信頼の分だけ反作用が出るのは自然の法則だと思います。


ビートが変則的で(少なくとも素人耳にはそう聴こえるんですが如何でしょう)、不安定さを感じます。悪いものは悪い。だけども、信頼してた人を断罪するのは辛い。そんな葛藤が表れているのでしょうか。


迷いそして選んだのは、悪いものは悪いという信念を貫く事。

自分自身への問いかけは続いていても、裁判の結果とこの曲をアルバムに収録した事で、横領の件はいつまでも責めず一件落着・・・としたのかも。
そこにこの曲がライブであまり歌われて来なかった謎の答えが見えた気がする今日この頃です。

youtu.be