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ももた支店:槇原敬之さんのほぼ全曲レビューという名のただ語りたいだけ-なブログをを相方さんとしております♪

02.LOTUS IN THE DIRT

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」

世間では紅蓮花がロングヒットしていますが、ここで取り上げられているのは白蓮華
白い蓮の花は、煩悩に惑わされることのない清廉な心を表すようです。

「泥沼でもきれいに咲ける花があるなら
君はどうする?」と
真っ白い蓮の花が咲いてた

仏教系の幼稚園で幼少時代を過ごした槇原さん。
おそらくその影響はこれまでの曲たちにも潜んでいるのだと思いますが、Home Sweet Home 以降はライフソングの色合いが濃くなるのにつれて神様や仏様に対する扱いが変わってきます。

神様ねぇもし僕が
彼女といること
当たり前に思ったら
力一杯つねってください
幸せの意味を忘れぬように
(君は僕の宝物/槇原敬之/1992年)

この頃は神様は時々出現すれど、困った時の神頼み的なポジションだったのが、HSHのころになると「生きている時間」の核に近いところにあるような変化を感じます。

それは贖罪からというだけでなく恋愛の枠に囚われずに広い視野で大切な事を発信していきたいという気持ちの現れだと分析しています。
人生に意味のあるポップスを作りたいというような事をマッキー自身も事あるごとに言っていたように思います。
振り返れば、以前どの曲かのレビューで書きましたが、ラブソングが多かった初期の頃に作られたライフソングは神曲レベルでした。

こういうと、ライフソングにシフトチェンジしてからはイマイチなのか?とも受け取られかねませんが、決してそうではなく、LOTUS IN THE DIRT もまた名曲中の名曲と言ってよいでしょう。

オリエンタルとデジタルのマリアージュとでも言うのでしょうか。

マッキーは表現の為なら耳障りな音も躊躇なく取り入れてきます。そんなところニクイですねぇ。


いきなりトンと何かが暗闇の中を落下していくようにハウリングした音が響いた後、デジタル音で『LOTUS IN THE DIRT』と言葉が入るとことか、とにかく始めから最後までカッコいい曲です。

マッキーのボーカルも
『ろおぉぉ』とか
『いいいいいー』とか
『のおぉをぉー』とか
(どこの歌詞よ?って思われた方は文末のYouTubeお聴き下さい:笑)
こんなグイグイくる歌い方は初めてじゃないでしょうか?
ずっきゅーんですよ。落とされるのは何回目でしょうか。

優しくなりたい 賢くなりたい
強くなりたい 弱さを知りたい

ここの思考の渦がグルグルしてもがいいるようなとことかもイイ。

歌詞の内容もすごくいいんですけど、何度もいいますが、サウンドがカッコ良すぎです。


まだまだ曲のカッコ良さは語るに足りないですが、歌詞に目を移すと、こちらは芥川龍之介蜘蛛の糸が思い出されてきます。
そうすると、最初の落下音は糸が降りていくところのようにも思えてくるから不思議ですね。
長い長い距離を登っていき、『優しくなりたい』のところでひと休憩。

小説のカンダタは休憩した時に下から他の亡者たちもうじゃうじゃ登って来ているのに気づくわけですが、怖くて蹴落としたくなるのは「人間」なら当たり前の心情ですよね。
しかしカンダタもまた亡者なのです。つまり登ってきているのは同じく救いを求めている仲間。
その仲間に慈悲を与えずに自分だけが助かろうとした事で無情にも糸は切れてしまいます。

この曲の主人公の目には真っ白い蓮の花が映りました。
きっと糸を上り切ってお釈迦様のいる蓮池にたどり着けたのでしょう。



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