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ももた支店:槇原敬之さんのほぼ全曲レビューという名のただ語りたいだけ-なブログをを相方さんとしております♪

09.軒下のモンスター

大切にしているものを、そのままとっておきたいがために自分がモンスターになればいいと思っているような人の気持ちをダンサブルに書きたくなったので、これはライブで盛り上がってくれればいいなと思っています。気に入ってます、この曲!
(本人による『Heart to Heart』全曲セルフライナーノーツ)

これまでも色んなダンスナンバーを世に送り出してきたマッキー師匠ですが、今回はコミカルなダンスナンバーでございます。

後にイカ大王体操第2という名曲が生まれますが、そこに通じる何かを感じさせてくれて、思わず体でリズムを取ってしまいたくなるイントロじゃございませんか。


この曲のすごいところはそんなコミカルなダンスナンバーとひっじょ〜〜〜にセツない歌詞とが組み合わさっていること。

ちょっともうどこを引用したら良いか分からないくらい全部が胸をキュッとさせられる歌詞でとにかく聴いて!と
Appreciationとは別の意味でレビュー放棄したい気持ちになりますね。

レビューなんか読まずに、セルフライナーノーツだけ読んで聴いた方が良いんじゃ無いかな、なんて。

しかし百聞は一見に如かず、ならぬ、百見は一聞に如かず、と言うのはどの曲にも当てはまる事。
そんなん言ってたらレビューブログやっていけないので(笑)拙いながらも筆を進めてみます。

さて。

私も田舎の出なので、幸せとは結婚して家庭を持って子供を育てるだという環境の中で育ちました。
違った、「も」と言うには申し訳ない、マッキーの地元である高槻市とは比較にならない田舎で御座います。

うちの母親は私が一生結婚できないんじゃ無いかと思っていたんじゃないかと思います。縁結びの神社に行くと何やら熱心にお祈りしてましたよ。怖くて何を祈っていたのか未だに聞けていません。

そう。ここのポイントは「結婚しない」じゃなくて「結婚できない」って思われてることです。

結婚するのが当たり前。そんな常識が少なくとも親世代にはまだまかり通っているそんな地域なので、今もお孫さん世代くらいまでは結婚適齢期になると親族が集まる盆暮正月が憂鬱になってる人結構いるんじゃ無いかなと思います。

そんな田舎の認識も、少子化の歯止めを立てるのには一役買っているんでしょうけど、幸せの道が他にある人たちにとっては自由を奪う足枷以外の何者でもないですよね。

結婚よりも仕事と思っていた私でさえ鬱陶しく肩身が狭かったのに、「周りに認められない、相手にも届かない恋心」を抱えた主人公は故郷に自分の居場所を感じられなかっただろうというのは想像に難くありません。

自分をモンスターに例えるなんて自虐的ですよね。僕にとっては周りこそモンスター(敵)なのに。


発表当時カミングアウトソングだとファン界隈でざわつきもあったようですけど、

別に隠してたわけじゃない
聞かれなかったからだよ
槇原敬之 Ordinary Days)

って声が聞こえてきます。幻聴かもだけど。

それはさておき、軒モンは好き嫌い分かれる曲なんだろうなぁ。

私はというと、放物線を描く様に好きになった曲です。

じわると言うよりも、ジェットコースターのように、最初にちょっとジワジワする時期があって、カタンとハマると急にスピードが上がる感じ・・・伝わるかな?

ライブでのれるのもポイント高いけど、やっぱり何と言っても歌詞ですよ。歌詞。

歌詞の前はが良いけど、敢えて特に好きなとこをあげるなら・・・

僕のこの恋はどうやら
上手くいきそうにない
わかってる そんなこと
誰よりも分かっているさ
だけど譫言のように
心は君の名を呼ぶから
ばれないように心の口を
必死に塞いでいる

心情を赤裸々に書き綴ったサビ↑とか

そして大サビの文学的な表現↓

恋しい人の名前を
遠慮がちに叫ぶと
その声に風が起こり
ススキが隠すようにざわめきだす

とか、美しすぎて悶えるしか無い。

そうそう。ススキには「活力」と「心が通じる」という花言葉があるようです。
逆風にも耐えうるしっかりと根を張ったススキに、アイデンティティを保持しつつも、周りに合わせる姿を重ねたのかも知れないし、叶わずとも変わらない恋ごころを重ねたのかも知れない。

それに心を通い合わせたいという気持ちを隠そうとしているけど、隠しきれそうにない心情を歌ったのかも知れません。

色んな思いが大サビのワンセンテンスに詰まっているようで、そしてそこに至るまでのサビを含めた状況や心情描写はどれも外せない。

冒頭に紹介したセルフライナーノーツにはこんなことも書かれていました。

人は純粋で誰も傷付けたくないと思うような生き物なので、その葛藤の中で苦しんでいる若者がたくさんいるだろうなと思います。


傘と同じように軒も雨を凌ぐためのもの。

マッキーの曲たちの中で「雨」は苦難であったり、主人公を悲しませるものとして描かれてました。そんな雨を避けるものではあるけれど、軒下にいるモンスター。

主人公はみんなと一緒に家の中には入れない。
そんな苦悩がタイトルに滲んでいるように思います。


明石家さんまさんはお笑いモンスターと言われてますけど、槇原敬之は◯◯◯◯モンスター。

◯に入るのは「のきした」ではないですよ?(笑)

「お」で始まる気の利いた言葉を考えてみたんですけど、語彙力の限界を越えられませんでした(笑)

という訳で、ありきたりですが、音楽モンスターの称号をあげたいと思います!


MVがYouTubeの公式チャネルにあるので載せておきますね。
ちょい見せも第二弾まで作られてて、すごい意気込みを感じます。
それだけ本人お気に入りの曲という事なのかな?


youtu.be